「うう、わかる、わかるよぉ」

ふと竜児が気付くと、大河はいつの間にかプレイステーション2、通称PS2をやっていた。
また何か変なゲームをやっているのかと竜児が訝しがりながら見たパッケージ。
それは、

「Fate/stay night?ああ、結構人気出たビジュアル伝記ノベルか」

しかし、そうなると大河が涙ながらにわかると言っている意味がわからない。

「竜児、私この人の英語の授業なら真面目に受ける気がする」
「一気に謎が解けたな、っていうかつまりお前は担任の授業は真面目に受ける気がねぇとそういうことか」

Fate/stay nightには英語教師として藤村『大河』という女性が出てくる。
これがまた冬木の虎と呼ばれているキャラで、しかも大河という自身の名前を気に入っていない。
だというのに、

「虎を深く憎み、同時に深く愛しているなんて……なんて素晴らしいのかしら」
「まぁ確かに似てる部分はあるわな、虎って呼ばれたり、そういや剣道も強いんだっけ」
「そう、そうよ!!この人こそ私の指標となる人物よ!!そうだ、竜児アンタは料理が上手いから士郎よ!!」
「でえっ!?俺そんなに強くねぇよ!!」
「いいのよ!!無駄に細かいし」
「それに俺が士郎でお前が藤ねぇになったら物語的に恋愛要素絡まねぇぞ」
「あ……」

忘れてたとばかりに大河はコントローラーを取り落とす。
瞬間画面では、

『ソコツものがー!!』

とタイガー道場よろしく藤ねぇのデンドエンドった後の画面になっていた。
大河しばし悩んだ後、ポチリと電源を落とす。

「もうやんないのか?」
「ん、ここにエコエコ大魔神がいるから、あんまりゲームやってると電気代云々って文句言われるし」

本当に理由がそれだけなのかはわからない。
わからないが、

「じゃ、買い物にでも行くか」

竜児も大河に習ってゲームの事は頭の隅に追いやった。
ちなみに……あと十分大河がゲームを続けていたら大河の考え通りの事を竜児が言っていたのは言うまでも無い。


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