【白いコイビト】

「大河…ホワイトデーのお返しだけど、何か欲しいものあるか?何でも…ってわけにはいかないが、俺にできることなら…」
「……何でも?竜児にできることなら?」
「ああ。俺にできることなら…何でもだ」
「じゃあさ。じゃあ…竜児。私を、竜児のお嫁さんにして。本当のお嫁さんに。白く…真っ白に…竜児ので、私を白く染め上げて…」
「大河……」

  ギシギシアンアン

「…実乃梨ちゃん…それは流石にベタすぎでしょ…ベッタベタだよ…」
「ベタではない!『王道』と変換して補完して補正したまえあーみん!」
「矯正しすぎて劣化してんじゃね…?まああのバカップルならあり得なくはないけど…」
「おうよ!あの二人なら必ずやオレっちの予想の斜め上を3メートルほど横滑った展開に持ち込んでくれると信じてるッゼ!!
 …っとぉ、きやがったぜきやがったぜ!隠れるんだあーみん!」
「いや教室でどう隠れろって…え、机の下?」
 ゴソゴソ…
「マッマッマッマッマッ・マッシュマッシュマロ〜〜〜〜〜」
 うおー!
「クッククッククッククックククククククッキッキ―――!」
 や―――!!
「キャ・キャ・キャ・キャンディ・キャ・キャ・キャ・キャンキャンディ!!」
 は―――――――!!!
「手作り!竜児の手作り!マシュマロどーん!クッキーどーん!キャンディどーん!
 どーん!どど―――ん!!」
「大河…頼むからちょっとは落ち着け…傍から見ていて頭が可哀相な人みたいだぞ…」
「だっておいしいし!たくさんだし!甘くてフワフワでサクッとコリッと!!」
「ったく…お菓子がいっぱいで嬉しいってどんだけお子様なんだお前は…。
 おはよ、櫛枝、川嶋…なんで机の下にいるのかはよく解らんが…ってなんだ櫛枝?」
「高須くん…」
 ニッコリ。
「ヘドぶちまけな!!」
「ドッゲェェェェェェェェェェェ!!?」

 みのりんのこうげき!
 レッドスコルピオンな飛び膝がこみかみに炸裂!
 りゅうじはしんでしまった!!

「りゅ、りゅうじ〜〜〜〜!?いきなり何するのよみのりん!!?」
「バッキャロ大河ぁぁぁぁぁ!!
 お菓子ネタならそこは『いと犯し』とかのたまいながら女体盛りとかもつれ込みなよ!
 萌えねぇんだよそれじゃああああぷぎゃ!?」
 ゴッ、というシンプルだがシャレにならない音が響き、みのりん強制終了。
 へなへなと崩れ落ちた実乃梨の背後で、思った以上に椅子の角を友人の後頭部にめり込ませてしまった亜美がうめく。
「………しまった………後ろからだと正当防衛は成立しないよねぇ……」
「う……非難していいのか感謝していいのか、微妙だわばかちー…」
「しかしどうしたもんかね、これ」
「まー、竜児もみのりんも頑丈だからこれくらいでどうにかなったりはしないけど…とりあえずばかちーはみのりんお願い」
「ハイハイ、あんたは旦那様の方ね…ってコラ。アンタ高須君、どこに連れてく気よ?」
 気絶した竜児の襟首をつかんで引きずっていこうとする大河に、素で不思議そうに亜美は問い掛ける。
「ねえばかちー」
「なによ?」
「いま、みのりんに言われて思いついたんだけど…」
「だからなによ?」
「…………………………男体盛り、ってありかな?」
「まてやコラ」

      <了>


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