「ん……」
 薄明かりの中、大河がベッドの上で身を起こす。
「……あれ?」
 ぼんやりとした頭のまま見回せば、そこは自室ではないが見覚えのある部屋で。
「……あ、そっか……風邪ひいて……竜児のうちに泊めてもらったんだっけ……」
 ベッドの横を見下ろせば、布団で安らかに眠る竜児の姿。
「……緊張して眠れないとかいうことはないわけね……踏んづけてやろうかしら」
 ナツメ球の明りを点けたままなのは、夜中に間違えて踏んだりしないようになのだけど。
 上半身をベッドから乗り出すようにごろんと転がり、手を伸ばして竜児の頬をつつく。
「この鈍犬……」
 と、大河はにんまりと笑みを浮かべ、ベッドから降りて竜児の顔を間近で覗き込む。
「竜児ってば、寝顔は意外に可愛いのよね……」
 前髪を上げて、おでこにキス。ほっぺたにもキス。ちょっと迷って、唇にも軽くちゅっと。
「む〜、起きないか……」
 もぞもぞと布団に潜り込み、抱き締めるように首筋に顔を埋めて息を吸う。
「竜児の匂い……」
 耳元に唇を寄せて、
「竜児、好き……好き……好き……大好き…………愛してる……」
 囁きながら、ちゅっちゅっと顔中にキスを繰り返す。時々、首筋を跡がつくほど強く吸ってみたり。
「俺もだぜ、大河」
「え?」
 気づけばがっちりと抱き締められて、竜児の瞳が大河のそれを見つめていて。
「愛してる、大河」
 お返しとばかりに唇を奪われる。魂の奥底まで刻み込むような熱いキス。
 やがてしなやかな指先が服の下へと侵入し……

「ってな感じで!てな感じで!ふおぉぉぉぉぉぉ!オイラはもう滾って滾ってたまらんですたい!」
「ちょ、ちょっとみのりん!そんなことしてないってば!」
「え〜?だって二人で一晩同じ部屋で過ごしたんだべ?」
「すぐ近くにはやっちゃんだって居るんだし!それに竜児は結局朝まで起きなかったもの!」
「ほほう、ということはひょっとして大河、布団潜り込むぐらいまではやったんだね?」
「そ、そそそ、それは……」
「さて、それじゃあ今度は詳しい所をゲロってもうらおうかねぇ♪」



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