「おう……」
「竜児、どうしたの?」
「いや、この本のこの記事なんだけどさ、ちょっといいなあ……って思って」
「どれどれ?」
「ほら、インタビューのここの所」
「…………竜児」
「おう?」
「まさかあんたにそんな趣味嗜好があったなんて……結婚してから想定外の事実を知るってのは本当だったのね……」
「おい?」
「大丈夫、安心して。たとえ竜児がどんな変態だったとしても、私は絶対に捨てたりしないから」
「大河、ちょっと待て」
「ああ、でも私もちょっと見てみたいかも……意外に似合っちゃったりして?」
「待てって!お前、何をどう誤解してるんだよ!?」
「だってその記事、『ただ、今度は女性になって、お嫁さんになってみたいですね』って……女装趣味とか変身願望とか……」
「違うだろ!その前の『生まれ変わっても同じ相手と結婚したい』だろ普通に考えて!」
「……本当に?」
「……よしわかった、今から俺がいかに『男』かってことをお前に思い知らせてやる。嫌だっていっても止めねえから、覚悟しとけよ」


 高須家に家族が増えたのは、それから約十ヶ月後だったとか。



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