「な……」
「な……?」
「何なの……何なのよこれ……」
「大河?」
「許せない……ゆ・る・せ・な・い・わ・よ・竜児!」
「なんだなんだ?一体どうしたんだよ大河。久しぶりに見たぞ、おまえの真っ黒なオーラを」
「だって、だって、これってもう、私の事おちょくってるとしか思えないんだもの!」
「おう?ってか、またネット見てんのかよ、どれどれ」

http://sankei.jp.msn.com/economy/business/100423/biz1004231725025-n1.htm

「…………ん」
「ちょっと竜児。最後まで読みなさいよ。寝るんじゃないわよ!」
「いや……やっぱり俺はいい。人様の気にしてる話題に首を突っ込むほど俺は……」
「いいから読みなさいよ、ここを!」
「いてて!?俺の顔面を無理やり固定すんなよ!見てる……ちゃんと見てるから!」
「いーい?『無理に盛り上げたくない』って書いてあるわね?」
「あ、あぁ……あるな」
「大きなバストをコンパクトに見せたいって書いてあるわね?」
「おう。そういう事もあるんだろうな、女性は色々大変そうだからな」
「贅沢すぎて殺したくなるような願いを叶える商品の誕生ってわけね、ハッ……」
「ニーズを掘り起こすというのはだな、並大抵の発想じゃないわけで」
「うるさいわね!っていうか、盛り上がらない人の気持ちはどこ?どこに行っちゃったの!?」
「いや、そういう人はそもそも買おうと思わないわけで」
「ちょ!?見てよ竜児!価格はD、E、Fカップが〜ですって!あら?あららぁ?」
「おう!売ってすらいないのか……そりゃそうだよな」
「竜児?」
「いや……何でもないぞ?うん、ナンデモナイ」
「私サイズのブラは売ってないんですって」
「あぁ、トリプルっ……ぐはぁ!?」
「……あら、思ったより深く入っちゃったわ、遺憾ね」
「おう。俺が作った飯が逆流しそうだ。そんなMOTTAINAI事出来るものか……くそ、耐えてやる……」
「それより日本人の平均カップのすら売ってないなんて、バカにするのも程があるわ」
「……だからニーズが」
「私がどれだけ苦労してどれだけ辛い思いをしてどれだけ竜児にバカにされながらパッドを作ってもらって……」
「いや、俺はバカになんかしてねえぞ?」
「ぶつぶつぶつ……」
「おい、おい大河?」
「ワ○ールなのね。わ、ワ○ール……分かったわ、こうなったらもう」
「落ち着け。そんなもん持ってどうするつもりだ?」
「……な」
「なっ?」
「殴りこみじゃ―――――っ!」
「待て待て待てぇーっ!」


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