「おや高須くん、今帰りかね」
「おう櫛枝、お前もか。部活は?」
「今日は早上がり。バイトも無いから久々にのんびりなのさ」
「おう、そうか」
「どうだい、せっかくだからたまには一緒に帰らないかね?」


「……あのさ、高須くん」
「おう?」
「その、大河から連絡とか、無い?」
「……ねえな、今の所」
「高須くんからは電話とかメールとかしないわけ?」
「おう。なんか、黙って行った大河の決意に水を差しちまうような気がしてさ」
「そっか……今頃どうしてるんだろうねえ……」
「母親の所に居るはずだけど……『遠い他県』としか聞いたことねえからなあ」
「高須くんの愛の力でさ、大河の様子がわかる能力に覚醒したりはしないのかね?」
「そんなに都合良くいくもんじゃねえよ。そう言う櫛枝こそ友情パワーでどうにかならねえのか?」
「そんなに都合良くはいかないよ、やっぱり」
「ま、大河のことだから元気に頑張ってるんじゃねえかな」
「そうかな……そうだといいけど……」
「確かにあいつの背負ってるものは大きいし重いけど、大河ならきっと、いや絶対、きちんと決着つけて帰ってくるさ」
「……高須くんは、強いね」
「そうでもねえ。ぶっちゃけ半分ぐらいはやせ我慢だ」
「残り半分は?愛とか信頼とか?」
「んー、何と言うか……俺は竜で大河は虎だから」
「へ?」
「竜虎並び立つってやつだ。だからどんなに離れてても、俺と大河はいつもお互いの『傍らにいる』んだよ」
「なるほど……うん、それはやっぱり愛だね」




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