逢坂大河は30歳になっていた。
一度は恋人みたいになったものの、すれ違いが重なって竜児とは別れてしまった。
竜児と別れた原因は、自分が他人の愛し方をわかっていなかったからだと思う。
言い訳ではないけれど、家庭で上手に愛されなかった自分は
生まれて初めての恋人を上手に愛せなかったのだと思う。

竜児と別れた直後は落ち込んだけれど、大河はきちんと立ち上がった。
逢坂大河の人生はタフな人生なのだから。
凸凹でも、何があっても、何度も立ち上がるのだ。


大河は今、小学校の先生として日々をすごしている。
竜児との出会いが、小学校の先生になるきっかけになった。

「あのころ、自分を助けてくれた竜児のように、
今度は自分が誰かの力になりたい。」
そう思って小学校の先生になった。

昔の自分のような寂しい子どもを助けられるように。
自分を孤独から救ってくれた竜児みたいになれるように。

竜児との出会いは本当に貴重な出会いだったと思う。
『友達として好き=人として好き=恋愛感情』
そういうことが、ちゃんと分からなかった高校時代。
うまく愛せなかった大学時代。

その時その時自分は全力だった。
だから、後悔はしたくない。
きっと、そういうことを積み重ねて、人は大人になっていくのだし。

ただもし、もう一度竜児に会えたら、あの時いえなかった
「ありがとう、好きだよ。」って伝えたいな。

そんな夢を見る大河30歳でした。ちゃんちゃん。


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