『百秒チャレ〜ンジ!!』
 TV画面の中で、司会のお笑い芸人が大声を張り上げる。
『さて本日最初のチャレンジは、「百秒間にサイコロをどれだけ積み上げられるか」!』
「ねえ竜児」
「おう?」
「竜児ってば手先器用だし、こういうの得意そうよね。やってみない?」
「いや、うちには……というか普通の家にはこんなサイコロ十何個もねえだろ」
「あ、そうか。ちぇっ」
「しかし百秒っていうと一分四十秒か。短いようでこうして見てるとけっこう長く感じるな」
『お〜っとサイコロタワー崩壊!そしてここでタイムアップ!記録達成直前で無念の失敗です!』
「それじゃあ、この間やってた折り鶴作るのは?」
「そうだな、精度気にしなければなんとか……まあ実際やってみねえとわからないけど」
『さて、次のチャレンジは「百秒間に餃子を何個食べられるか」!』
「ところで竜児、私もやってみたいチャレンジ思いついたんだけど」
「おう、多分言い出すんじゃねえかと思ったら案の定か……焼売か?ミートボールか?プリンか? 寿司は勘弁な、高いから」
「……あんたねえ、人を何だと思ってるのよ」
「おう、早食いじゃねえのか、すまねえ……じゃあどんなチャレンジなんだ?」
「えっとね、百秒間に何回キスできるか。当然手伝ってくれるわよね、竜児」
「……大河、お前なあ……」
「まさか、嫌って言ったりはしないわよねぇ?」
「……お、おう」


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