「りゅ〜じ〜。」

大河が、困った顔をしてトテトテと歩み寄ってくる。いつもの風景。

「どうした大河?」
「あのね、これ。」
「うぉ………これは酷いな。」

見ると、制服がいちご牛乳まみれ。一体どうしてこうなったのか?まあ予想はつくが…。

「違うの。私が悪い訳じゃないの。このパックが変なのよ。」
「とにかくジャージにでも着替えてこいって。」
「えぇ…ジャージで1日過ごせって言うの?」
「自業自得だ。…帰りまでには洗って乾かしてやるから。」
「ホント?乾くの?」
「おぅ。昼休憩に手芸部にアイロン借りて…大丈夫、任せろ。」
「うん。…あのね、りゅうじ。」

何か言いにくそうに、大河がもじもじとする。そして、上目遣いでこちらを見据えて

「えっと…いつもね………ありがと♪」
「お、おお…ど、どうした急に??」

まるで小動物のように小首をかしげる仕草に、思わず動揺してしまう。
「じぃ〜〜。」、とキラキラと目を輝かせて見つめてくる。く、何だこの大河らしからぬ 可愛らしさはっ!?

「な、何だ?どうした?」
「ぷ」

くくく、と意地悪そうに笑ういつも通りの大河。

「いや〜、みのりんが「人間ってのは普段とのギャップに萌えるんだぜぇ〜」って言うからやってみたの。
効果てきめんねぇ♪ねぇ、ドキドキしたでしょ?竜児っ!」
「…早く着替えてこねえと染みになってとれなくなるぞ…。」
「え、嘘っ!!ちゃんと落ちるよねっ?」
「急いで転んだりするなよ。」

全く、あいつは突然何を言い出すかわからねぇな…。ま、ちょっと、その…悪くはなかったが。



「実乃梨ちゃん、どうかした?」
「ふ、ふふふ…可愛すぎるぜ大河ぁ!こ、今度はコスプレを薦めて…ぐはっ!」
「ちょ、実乃梨ちゃん??何で突然鼻血出してるのっ?」


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