憂鬱になる空。今日も雨。

「大河、弁当。」
「今日はなに、竜児っ♪」
「開けてからのお楽しみだ。」

ほんの1年前の私なら、起きるのも面倒で、遅刻して、やる気なくて。

「やっぱりこの時期はあっさりしたものがいいよな。」
「あっさりした…肉!」
「…その発想は、前後の関連性が乏しいと思うぞ?」

でも、今は違う。学校に来るのが楽しみで、生きがいで。

そう。
1年前の、あの日から。

「み〜のりんっ!今日は部活お休みでしょ?遊びに行こ遊びに行こっ!」
「おお、たいがっ!そいつは名案だぜぇ〜!北村君もどうだい?」
「おお、いいな。俺も今日は生徒会の方も空いてるし、久々に皆で遊びに行くか!なぁ、高須。」
「たまにはそれもいいな。」

あの、出会いから。

「あ、私新しい傘欲しいっ!カラフルで可愛いヤツ。」
「お前今使ってるやつあるじゃねえか!MOTTAINAI!」
「竜児は愛が足りないわ…。」
「なぬ、高須君、そうなのかいっ!?」
「うむ、それはいかんな高須。」
「何だこれ?イジメか?」

私が、泣いても、怒っても、わがままを言っても、いつも一緒にいてくれた。

「嘘。ちゃんとお弁当に愛情つまってるモンね。はい、りゅ〜じ。」
「おおぉ、大河!『あ〜ん』なのかっ!これが伝説の恋人に食事を食べさせる『あ〜ん』の体勢なのかぁ〜!?」
「フフフ、そうよみのりん。竜児の愛情に答えてあげてるの。しつけってヤツかしら?」
「いや、逢坂。その言い回しは物凄く高須がかわいそうになってくるので、何か他の言葉に置き換えてやってくれ。」
「あと出来ればそのお弁当が自分で手作りしたものならよかったぜ、大河っ♪」
「みのりん…それは言わないで……。さあ、竜児っ!」
「やっぱこれ、いじめですよね!?いじめKAKKOWARUI!!」
「失礼ね。これはしつ……じゃなくて」

北村君。ばかちー。みのりん。そして
竜児。りゅうじ。りゅーじ。私はきっと伝えきれてない。こんなにも、私は、こんなにも。

竜児を。

「愛情よっ♪」

――――――大好き。


作品一覧ページに戻る   TOPにもどる

inserted by FC2 system