「高須、昨日のBスフィアーズは見たか?」
 昼休み、弁当を食べ終わった竜児に話しかけてきたのは北村裕作。
「おう、見た見た。しかしあれ、最終回だってのに決着ついてないことが多すぎねえか?」
「海外ドラマではたまにある展開だな。次シーズンへの興味を惹くためにあえて謎を残したり、『続く』的な終わり方にするんだ」
「おう、そうなのか……俺としてはきっちり終わらないってのはどうにも気持ち悪いんだが」
「確かに次シーズンが制作されずに尻切れトンボになることもあるけど、俺は長いスパンで大きな謎や事件を追っていくのは好きだぞ。逢坂はどう思う?」
「え?わ、私!?」
 憧れの人に突然話を振られ、思わず硬直する大河。
「おっとすまない、逢坂は見てなかったか?」
「ううん、み、見てる。その……私も、好き……」
「おお、そうか!逢坂とは気が合うな!それじゃ……」
 とその時、教室の入り口からかけられる声。
「北村部長、櫛枝部長、先生が緊急ミーティングだそうです!」
「む、しょうがない、ちょっと行ってくるか。逢坂、今度是非海外ドラマについて語り合おうな」
「う、うん」
 そして北村が去った後には、にへらと表情を緩める虎と憮然とした顔の竜が。
「えへへ、気が合うって……」
「おい大河」
「なによ竜児。人がせっかくいい気分でいるんだから邪魔するんじゃないわよ」
「お前、昨日俺以上にぶーぶー文句言ってたじゃねえか、納得いかねえって。なのに『私も好き』って何だよ?」
「う、うるさいわね。今度から好きになるからいいの。それより今週中にDVDでシーズン1から全部見なおすからね、あんたも付き合いなさいよ」
「おう……」


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