「なあ大河」
「んー?」
「ずいぶん機嫌よさそうじゃねえか。何かあったのか?」
「あ……わかる?」
「わからいでか」
 何しろ大河は帰って来た時からずっとニコニコ、時にニヤニヤ、鼻歌など奏でつつ夕食の片付けを手伝う始末。
「そうね……竜児には特別に教えてあげる。今日みのりんと遊びに行ったじゃない」
「おう」
「その時占い館の出張所見つけてね、ちょっと見てもらったのよ」
「……占い、ねぇ」
「あ、胡散臭いとか何とか言いたいんでしょ。でもね、そこは本物だったのよ。
 私の顔見て開口一番『あなた、好きな人がいますね。それも身近に』だもの」
 女子高生で身近に多少なり好きな人が居るのは普通なんじゃねえかな……などと思いつつ、竜児はとりあえず無言で。
「でね、その占い師が言うには、今は関係が近過ぎて本当の気持ちが見えにくくなってるけど、強くて太い絆で結ばれてるから心配するなって。やっぱり北村君は私の運命の相手だったのよー」
「おう、よかったじゃねえか」
「でしょでしょ。ただ、これからの卦があんまり良くなくてね、なんか色々と障害が湧いてくるらしいのよ。だからほら、これ」
 言いながら大河が取り出したのは、どこにでもありそうな星をモチーフにしたキーホルダー。
「おう?何だそれ?」
「絆を更に強くする、縁結びのお守りだって。ついでにあんたの分も買ってきてあげたから。みのりんと上手くいくように」
「おう、すまねえな。いくらだ?」
「一個二千円」
「にせっ……!」
 大河お前占い師の術中に嵌りすぎだとか二千円あれば買える物リストとか、思わず脳内に浮かべつつ絶句する竜児の前で大河はふと不思議そうな表情に。
「ただ、最後に言ってたことがよくわからないのよねー。くれぐれも真実の相手を見間違わないようにって」



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