「すぅ…すうぅ…」

隣に寄り添っている女の子は、小さな寝息を立てながら。

「あーあ、こんな所でよくもまあ…虎とは上手く言ったもんだな」

繋いだ手と手に視線を落として、子供じみた体温の高さを感じ取ると。

「そろそろ行くぞー。1本逃したら1時間待ちは確実だからな」

太陽が少し傾いて、海から吹き付ける風に幾許かの冷たさを感じる頃。
遠くに黄色い帽子とランドセルを背負った小学生の姿がちらほらと。

「おーい大河さーん。宿に着いたら豪華海鮮料理と温泉三昧だぞー」
「…私の裸を見ながら食事だなんて痴れ者の極みよねこの変態駄犬」
「どこをどう聞けばそうなるんだよ。何もかも大間違いじゃないか」

毎度の事ながら呆れたように答えると、大河の小さな手を引いて歩き始める。

「あらそうかしら。あんたって昼と夜とで随分違うじゃない」
「それは仕方ないだろ、男の本能ってやつだよ。うん」


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