「高っちゃん、見て見て〜」
「おう春田、それは……アクセサリーか?」
「そ、親父が釣りが趣味でさ〜、ダメになった毛バリを貰って作ったんだ〜」
「へー、なかなかよく出来てるな。でもなんで毛バリ?」
「そりゃアレですよ、釣り針効果!こいつがあれば女の子はドッキドキ!俺はモテモテのパ〜ラダ〜イス!」
「……春田、それはひょっとして『吊り橋理論』じゃねえのか?」
「へ?なにそれ?」
「吊り橋とかで緊張してドキドキするのを、恋愛のドキドキと錯覚するって話だよ」
「えー?俺吊り橋で緊張なんかしないよ?高くて楽しいし気持ちいいじゃん」
「……」


「と、いうことがあってな」
「……あのロン毛虫は本気で底抜けのアホね」
「……残念ながら否定できねえな」
「竜児も気をつけないとアホが感染っとわっ!」
「あぶねえっ!」
「……あー、びっくりした」
「びっくりじゃねえ、春田が底抜けのアホならお前は限りないドジだ。なんでそう何も無いところで躓けるんだよ?」
「う、うるさいわね。好きでやってるんじゃないわよ」
「好きでやられたら堪らねえよ。毎度毎度ハラハラさせられる身にもなってみろ。今だって俺が抱き止めなかったら」
「黙れって言ってるでしょ!というかいつまで人の体に触ってるのよこのエロ魔犬!」
「お前、それが助けられといて言う言葉か!?」
「別に助けてくれなんて頼んでないわよ!」

『『吊り橋理論、吊り橋理論……』』



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