「……高須! 高須じゃないか!」
「え?……あ、中野先生、お久しぶりです」
「でっかくなったなあ!えーっと、確か今高三だったよな?」
「はい。先生はお変わりなく。まだ大橋中で?」
「おう!だけど今年受け持ちの連中は悪ガキだらけでなあ……ホントお前がクラス委員だった時は楽だったよなー」
「……ねえ竜児」
「おう大河、どうした?」
「このおっさん、誰?」
「おっ……おまえ、なんて失礼な」
「いやいや高須、気にするな。俺がおっさんなのは確かだからな」
「すみません……。大河、この人は俺が中二の時の担任の中野先生だ」
「よろしくな。ところで高須、この子はひょっとして」
「はい、その、こ……恋人でして」
「ちょっと竜児!ちゃんと言いなさいよ、婚約者だって!」
「お、おう」
「何!?……そうかそうか、あの高須がなあ……
 大河さんだったか、知ってるとは思うがこいつはいい奴だが誤解されやすくてな。よろしく頼むよ」
「は、はい」
「いやしかし、めでたい!どうだ高須、祝いに奢るから一杯付き合わんか?」
「先生……俺はまだ未成年です」


「……なんとゆーか、豪快?なおっさんだったわねー」
「昔から細かい事を気にしなさすぎる人でなあ……それで助かったところもずいぶんあるんだけど」
「だけど竜児、クラス委員なんかやってたのねー」
「おう、一年間だけな」
「推薦で押しつけられたとか?」
「いや、自分から立候補した」
「あんたにしちゃ珍しいじゃない」
「クラス委員なら皆と接する機会も増えて、早く理解してもらえるかと思ってな……」
「……その微妙な表情からすると、ひょっとして……」
「おう、なんか『逆らったら何されるかわからない』みたいに思われてな……おかげで仕事はいつもスムーズに済ませられたんだけど」
「ぷくく……あんたらしいわね」
「ついた渾名が最も恐いと書いて『最恐のクラス委員』だ」
「ぶふーっ!……っくくく……さ、最恐って……」
「……そこまで笑うか……?」
「ねえ竜児。竜児なら中学のアルバム取っておいてあるわよね」
「お、おう」
「帰ったら見せてくれない?それから中学の時の話とかも聞かせて」
「いいけど……面白い話とかそんなにねえぞ?」
「いいのよ、恋人の事は色々と知っておきたいもんでしょ?」



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