「あんた何読んでるのさ。」
「ドラッカーっていう経営学者の『マネジメント』って本だ。」
「ふーん・・・まぁ興味ないし。」
「何言ってるんだ!俺が読み終わったらお前も読むんだぞ。」
「えー。どうしてよ!」
「もし・・・俺とお前がドラッカーの『マネジメント』を読んだら・・・」




 〈大河、もしドラ読了〉

「……ダメ!ずぇーったいダメよこんなの!」
「おう!?なんだ急に大声出して。」
「なにのんきな声出してんのよこのビジネス理論犬!あんたが寄越したこの本よ!
 これじゃみのりんが病気になって、私が代わりにソフト部を全国大会に出場させる話になっちゃうじゃない!」
「……いや、あのな、誰も筋をそのまま再現しろとは言ってねえだろ。俺たちのエピソードに応用したらってはなs」
「おまけに私と北村くんの仲は初っ端から最悪、ばかちーは本物のチワワだし、あんたは独神(30)と日々みっちり戦略会議をするハメになるのよ!」
「おうっ……。今のでだいたい配役は見えたぞ。俺が正義なのか、そうなのか大河。
 ってそうじゃねえだろ!だから、なんでそのまま当てはめるんだよ!」
「そりゃあ結局みんな一丸となって、わだかまりもとけるわよ。でもそしたらみのりんは、みのりんは……。」
「た、大河?俺の話を……、おい、泣いてるのか?
 たいgうわぶ!」
「と・に・か・く!二度とこのテの本は持ってこないで!
 ドラッカーだかドラグナーだか知らないけど、すでにアニメ化されてる私達に成功哲学なんて必要ないのよ!」
「ふぉ、本のカドが鼻に……ひでぇ……
 そんなこと言ったってお前、BD化は今微妙なラインだし、ゆゆぽは新シリーズに移っちまったしで、ここらでもう一山当てといたほうがいいんじゃないか?」
「かーっ!そんなんだからいつまでたってもふぉ、フィアンセに犬呼ばわりされるのよこの質実剛犬!
 いーい?あんたと私は本編終了と共に希望に満ちた未来が提示されてるの。また泣くこともあるだろうけど、あんたと一緒なら私はきっと耐えていける。」
「お、おう……。」
「再度儲かる、すなわちメディア化するってことは、その平穏を覆して私達の間にまた一波乱起きるってことでもあるのよ。あんたがPSPで記憶を無くしたみたいにね。
 私はもう……そんなのは耐えられない。あんたの手を離したくない。」

「大河……。俺だって、離したくねぇよ。危なっかしくて、どこにすっ飛んでくかわかりゃしねえ、俺の愛しのちっこい手だ」
「……えへへ。
 その、だから、あとはこのスレの住人に任せておけばいいの。きっとBD化もすごく応援してくれてるし、これから先も私達をめちゃくちゃ幸せに書いてくれるわ。」
「そんなもんかなぁ。」
「幸せって案外そういうものよ。欲をかかないほうがいいこともあるの。」
「……どの口がそれを言うかねえ。」
「あによ、なんか文句あるっての?」
 ちゅっ。
「なるほどこんな口か。」
「……ばか。リップが落ちちゃったじゃないよ、唇カサカサ犬……。」



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