「やっちゃんやっちゃん!注いであげる!」
「にゃっは〜〜ん!ありがとう大河ちゃん。あ、ほらほら、大河ちゃんももう一杯!」
「やったっ!んじゃかんぱぁ〜い!メリークリスマス!」
「メリークリスマぁス!」

カツンッ!と小気味好い音を立てて楽し気に二人は杯を交わす。

「……て、おい大河!あんまり飲み過ぎるなよ」

と、二人のお目付役を買って出た竜児だったが、その手にもワインの入ったグラスが握られている。
折角のクリスマスパーティだから、ということで泰子が飲ませてくれたのだ。

「うるさい!固いこと言うな駄犬!盛り上がるには少しくらいのお酒だって必要なのよ。ちゃんとセーブするし。あ、もしかして竜児もお酌して欲しかった?」
「い、いや、俺はもう」
「だぁーっ!はいはい、優しい優しい大河様が注いであげるから、竜児も付き合いなさい」
「いやぁ、もう十分……ああストップストップ。ありがとさん。ほら、メリークリスマス大河」
「そうそうその意気よ。乾杯!」

ニイッと笑い合い、何だかんだ言いつつ竜児も飲んでしまうのだった。
ご馳走を目の前に、キャッキャと喜ぶ大河と泰子を見ていれば無理もないことである。

「竜児これおいしい!ローストビーフとは考えたわね」
「おう、沢山食え。チキンにするとインコちゃんが可哀想だからな。お友達を丸焼きにするわけにはいかん。
いやしかし、この出来は大河ん家のオーブンが高性能なお陰だ」
「ふぇ〜。大河ちゃんとこで作ってたのってこれかぁ。こんなにおいしいもの食べられて、
竜ちゃんと大河ちゃんもいてくれて、やっちゃんはとっても幸せでがんす〜」
「泰子も好きなだけ食べるんだぞ。スープはどうだ?」
「おいしいでがんすよ〜。もう竜ちゃん何でもできるスーパーマンなんだから、やっちゃん頼りにしちゃう」
「は〜い!竜児お代わりちょうだ〜い!」
「おう!!」

装りに行きつつ、陰に隠れて竜児はガッツポーズ。
満面の笑みは、油断させて毒を盛ろうとする狂気の微笑み!……ではなく、今日のための料理の計画が上手くいき喜んでいるだけなのだ。

幸せに満ち溢れた高須家の夜は更けていく。


--> Next...



作品一覧ページに戻る   TOPにもどる

inserted by FC2 system s