「そうだ大河、アレどうした?」
 登校中、突然の竜児の言葉に大河は小首をかしげて。
「アレって?」
「川嶋の物真似映像だよ。コーナーを攻めるモナリザとかなんとかの」
「ああ、それならきっちりDVDに焼いて保管してあるわよ」
「……いや、威張って胸反らすようなことでもねえだろ」
「だけど、何でそんな事聞くわけ?」
「おう、お前パソコンのデータ全部消していったじゃねえか。それでちょっと気になっててさ」
「……竜児」
「おう?」
「あんた、人のパソコンの中身を勝手に見たの?」
「だって、大河が置いていったんじゃねえか」
「だからってプライバシー覗こうとしていいってことにはならないわよ!」
「そ、そりゃそうだが……」
「何でそんなことしたのか言ってみなさい、正直にね。事と次第によっては……」
「……その……大河の居場所の手掛かりでもねえかと思って……」
「…………竜児」
「おう……」
「あんた、女々しい」
「し、しかたねえだろ!そりゃお前が帰ってくるまで待つって決めたけどさ!携帯は繋がらないし、いくらメール送っても返事こねえし!
 心配で、せめて何処に居るのかぐらい知りたくなっても……!」
「……ま、そういうことなら許してあげなくもないわね」
「お、おう……」
「ところで竜児」
「おう?」
「そのメール、全部保存してあるって言ったらどうする?」
「おうっ!?」




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