竜児が好き。
いつも私のことを見ててくれるのが好き。考えてくれてるのが好き。
優しいのが好き。叱ってくれるのが好き。
本当につらい時、必ず駆けつけてくれるのが好き。
竜児の目が好き。
みんなは怖いと言うけれど、本当はそんなことなくて。
真っ直ぐ前を見る時はかっこいいし。
照れた時にちょっと伏目がちになるとかわいいし。
竜児の声が好き。
私の名前を呼んでくれるのが好き。
朝、挨拶する時は嬉しそうに。困らせると、ちょっと怒ったように。
心配そうに呼んでくれるのも好き。心配させたくはないのだけれど。
竜児の指が好き。
美味しいご飯を作ってくれる指。
丁寧に髪を梳いてくれる指。
私に優しく触ってくれる指。
竜児の……
「りゅりゅ、りゅーじっ!」
「あ〜、大河ちゃん。ごめんね〜、竜ちゃん今お風呂入ってるんだ〜」
「そ、そうなんだ……。そうだやっちゃん、あのね、その……」
「はい、これでしょ?置きっぱなしだったノート」
「そう!それ!」
『おーい、泰子ー?大河、どうかしたのかー?』
「大丈夫〜、大河ちゃん忘れ物取りに来ただけだから〜」
『おう、わかった。大河、ちょっと待っててくれ。風呂上がったらまた送ってくから』
「……ねえ、やっちゃん…………見た?」
「大丈夫だよ〜、竜ちゃんには内緒にしててあげるから〜」
「あ……ありがと」
「その代わりに〜、ちょ〜っとお願いがあるんだけど〜」
「え?何?」
「そのノートをね〜、大河ちゃんが朗読するのを録音させてほしいんだ〜」
「ふぇ?」
「それで〜、二人の結婚式で、サプライズで流すの〜」
「そ、そんなっ!?」
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