「うわぁ、今日の二人のお弁当、おかずはコロッケかい?おいしそうだねぇ」
「へへー、いいでしょみのりん。私の一つあげるね」
「おっ、いいのかい?サンキュー大河ぁ!うーん、やっぱり持つべきものは親友だよね。それじゃ、あーみんには私のを半分あげるよ」
「あら、ありがとう実乃梨ちゃん。…へぇ、やっぱりとは思ったけど、これも高須君の手作りなのね」
「はむっ…ん…んんっ!?こ、これはっ!」
「んくっ…うわあ、おいしいわねこれ。冷めてるのにじゃがいものホクっとした食感が残ってるわ」
「そうか?口に合ってくれたみたいでよかったぜ。じゃがいもを粗くつぶしてんだよ。市販品はマッシュポテトみたいに完全にすりつぶされちまってるけど、俺はこう作ってるんだ」
「うん、こいつぁいいね!私もこのコロッケ好きだな」
「あたしも気に入ったわ。今度家で試してみよーっと」
「ふふん、どうよ?竜児のコロッケは最高なんだからね!」
「なんでそこであんたがいばるのよちび虎。しかもちゃっかり高須君のコロッケ取ってるし」
「いいの!みのりんにあげた分は私が竜児から補充するの!」
「あはは、さすがの高須君も大河のジャイアニズムには敵わないねぇ。竜(ドラ)えもんだけに…ぷぷっ」
「ぶっ!や、やめてよ実乃梨ちゃん…っ!…お、思い出し……ちゃう…くくっ…あははははは!」
「おまえらなぁ!?そのネタいい加減引っ張るのやめろよ!」
「ごみんごみんっ!…いやーしかし、あれだねぇ、コロッケ食べてると、思い出すねぇ…」
「?みのりん、なにを?」

「さーあゆーうーきーをーだっしー、みーじんーぎーりーだーほーちょー♪」
「おう!?き、キテっ…もとい、『お料理行進曲』か!?また懐かしい歌を…」
「いやー、こんなおいしいコロッケを作ってくれた高須君への感謝の気持ちを表すには、これが一番かなと。さあさあ、あーみんも一緒に歌おうよぉ」
「えぇっ!?あたしも歌うの!?」
「なんだよー、あーみんだって半分食べたじゃないかー。ここはちゃんと感謝の気持ちを捧げないと。さあいくよ!」
「ちょ、ちょっと実乃梨ちゃん!?」
「こーむぎー粉ー、たーまーごーにー♪はいあーみん!」
「え!?えっと、パーン粉ーをーまーぶーしーてー♪はい高須君!」
「な!俺かよ!?つーか川嶋、なんだかんだ言ってもちゃんと歌うんだな…」
「こ、細かいこと気にすんじゃないわよ!ほら、高須君も歌いなさい!亜美ちゃんだけに恥ずかしい思いさせる気?うーわー高須君ひっどーい」
「いやいや、もともと俺への感謝のために歌ってくれてるんじゃねぇのかよ…?」
「うっさいわねー、ぐだぐだ言わずにてめーも歌えやこら。ほらほらパン粉をまぶしてー?」
「ぐ…あ、揚ーげれーばー、コロぉッケだーよ♪くそう…こうなったら大河、おまえも歌ってくれ。ばっちり締めを頼むぜ!」
「りゅーうーじだーいーすきー♪」
「なにぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃっ!?」
「うおうあーみん、今日は一段とリアクションがキレてるねぇ…。心なしか頭の上に『ガビーン!』とか『ドッギャァーン!』とか効果音が浮かんで見えるぜ…!」
「大河ぁぁぁぁぁぁぁぁ!?なんじゃそりゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!」
「高須君もあーみんに負けず劣らずのリアクション、グッジョブだぜ!」
「だって、竜児への感謝の気持ちを歌うんでしょ?だったら、やっぱり私の歌詞はこの一言しかありえないわ」
「そ、そうだよしてもよぉ、もうちょっと時と場所と空気を読んでだなぁ…」
「なによ、いけないこと?ねえ竜児、私は竜児と係わる前まではずっとできあいの弁当ばかり食べてて…それこそコロッケをおいしいなんて感じたことなかった」
「お…おう」
「竜児の手作りコロッケを初めて食べたとき、本当においしかった!心の底から、そう感じたのよ!だから…だから、どんな形であれ、私は竜児に、改めてお礼が言いたかったんだもん!」
「…ぉ…ぅ……」
「竜児、いつもありがとう。おいしいご飯を作ってくれて。私のそばにいてくれて。私を…好きだって言ってくれて」
「………………」
「私ね、竜児のこと好き、本当に大好き!これからもずっと、ずーっと一緒にいてね!!」
「大河…」
「竜児…」

「…っだぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!やっぱりこのパターンなのかよぉぉぉぉぉぉくそがぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」
「あーみん、無理だ…ああなった二人は、おいちゃんたちにはもうどうすることもできないよ…」
「そもそもあんたのせいだろうがぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」
「あれーそうだったっけー?てへっ♪申し訳ないナリー☆」
「『ナリー☆』じゃねぇよちきしょーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーっ!!!!!!」




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