「大河、気をつけろよ。ゆっくり、ゆっくりな」
「竜児……そんなに気をつかわなくてもいいってば」
「でも、だってさ……やっぱり無理しないで家にいた方がよかったんじゃねえか?」
「もうとっくに大丈夫だって言ってるでしょうが! 大体、みんなで集合できるのなんて久しぶりなんだから、私だけ抜けるわけにはいかないし」
「おう、そうだな。北村は基本アメリカだし、川嶋は忙しいし」
「それに、ばかちーがあんたを誘惑しないように見張らなきゃいけないしね」
「いや、いくら川嶋でもそれはねえだろ」
「いーや、ばかちーならするね、今の状況なら必ず。『それじゃ高須くん、欲求不満なんじゃない?よかったらあたしが慰めてあげようか?』とか言って」
「おう、似てる……」
「ま、その前にびっくりするだろうけど。北村君も」
「川嶋は櫛枝から聞いてるんじゃねえのか?」
「会った時に驚かせたいから内緒にしててって言ってあるもの。そのみのりんも実際に見るのは初めてなのよねー」
「おう、そういや安定期に入るまではほとんど外出とかしてなかったもんな」
「みんながどんな顔するのか楽しみだわー」
 悪戯っぽい笑みを浮かべてくるりと回る大河。そのマタニティドレスのスカートがふわりと広がって。




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