【体育の授業・バスケ】
「今日もバスケットボールを試合形式で行う。それじゃあ準備運動から始めるぞー。二人一組になっ」
「へい大河っ!」
「はいここっ!組みましょう竜児っ!」
「……て、広がれー。………なんか今日は気合が入ってる奴らがいるな…」

「…ラジオ体操の次は柔軟体操。やっぱりこれも『一週目』と変わんねぇな」
「うん、そうね。…ふふっ、なんだか不思議な感じ」
「ん?なにがだ?」
「覚えてる?『一週目』のとき、『なにが楽しくてあんたと柔軟体操しなきゃいけないの』って言ったじゃない」
「…ああ、そういやそうだったな。ボール使うのなんて実際、最後の最後だけだしな」
「でもね、今はとっても楽しいよ。竜児と柔軟体操できるのが」
「お、柔らかいな……とか、こういう会話を、ちゃんと俺とできるからか?」
「うんっ。好きな人と過ごせるって、こんなにも幸せなことなんだって…竜児がいてくれるのが、こんなにも嬉しいことなんだって…気付けたから」
「大河…」
「あ、そうだ。あんたこのとき、私が痛いって言ってるのにぐいぐい押してきたわよねぇ?まぁその後、きっちりお返しはしてやったけど」
「おう…おまえが全体重以上の加重でもってのしかかってきた、アレか?」
「あのときあんた、全然私の話が耳に入ってないみたいでさ、気になってたのよね。やっぱりみのりんのことでも考えてたの?」
「う…そ、それは…」
「今さら怒ったりしないから。さあ、正直に言いなさい」
「確かに…櫛枝のこともちょっぴり考えてた。でもな…本当はおまえの身体にドキドキしちまってたんだ。女の子にこんなに密着したことなんかなかったし、おまえのうなじとか、大理石みたいになめらかな肌とか…すまん、あと、背中に浮き出たブラの…ラインとか」
「ふぇっ!?あ、あああんた、そんなこと考えてたの!?……もう、このエロ犬…」
「…面目ねぇ」

「へい竜児、パスパース」
「………あ、どこ見てんだよ!?」
「わ、逢坂さん!ごっめぇん、怒ってる?マジ勘弁、わざとじゃないって!」
「おーい逢坂!悪いな、こっちにパスくれ!」
「うん、木原さん、気にしないで。北村君、いくわよー!」
「おし、サンキュ!」
「…ぷっ」
「どうした大河?」
「あのときガッチガチに緊張してたのが、なんだかおかしくって…それに、北村君のあの片手でちゃっ、ちゃってポーズ。冷静に見ると…かわいいっ」
「ああ、おまえも『二週目』でようやくあのポーズのアレ具合に気付いたか。…っと、そろそろ時間だな」
「さあ竜児、もう一発…あ、ちょ、ちょっと待っ…ふぇ…っぶしゅん!」
「よしよし、今回はちゃんと危険回避もできたぞ。大河ー、そんじゃいくぞー!」

「えぇぇぇぇぇ!高須と手乗りタイガーが付き合ってるーーーーーっ!?」

「ぶっ!ちょ、み、みのりん!?能登君!?」
「…っておい、よそ見すんな大河ぁぁぁ!!」
「………へ?」
ばちこーん☆
「……あぁぁぁぁぁぁなんでまたこうなるんだぁぁぁぁぁ!すみませーん!ちょっと大河保健室に運んできまーーーーーーす!!」

「手乗りタイガーが高須に仕留められた!」
「目が離せねぇ新展開だ!」
「って言うか、二人が付き合ってるってどういうこと?」
「櫛枝、おまえなんか知ってるのか?」
「いやー、私も今朝大河に言われて知ったんだけどね…」

「ふにゃぁ〜、りゅ〜じぃ〜」
「あぁすまん大河、まさかこんなことになるとは…こりゃ昼休みにでも質問攻めだぞ…。『二週目』は『二週目』で、また違った展開が起こり得るってことかよ、ちくしょー!」


【昼休み】
「た〜いがっ!一緒にお弁当食べようよ〜。今朝の話もちゃんと聞きたいし。ねぇ北村君」
「おお、もちろん構わんとも。結構新鮮なメンツだな」
「ほら大河も高須君もおいでよー。まったく隅に置けないねぇお・ふ・た・り・さん♪」
「ひとつの机を二人で分け合えばいいよな」
「じゃあ北村君、私の隣に座んなよ。大河と高須君は一緒に座りたいだろうしね」
「お、おう。んじゃ大河、ご一緒させてもらうか」
「え、ええ。そうね」
「今日のおかずは、今日のおかずは、今日のおかずはなんだろ♪…あ、鳥のから揚げ!せーの、『とりからー』」
「おお、逢坂も弁当か。お母上が?それとも自分で作るのか?」
「ううん、竜児が…作ってくれるの」
「え?高須?弁当を作ったのが、高須?」
「お、おう。実はそうなんだ」
「ほうほう、さすが未来の旦那様。大河の食事の世話は抜かりないってことだね」
「それだけじゃないの。実は私たち、家が隣同士でね。何かとお世話になってるの。今朝のご飯も、竜児が作ってくれたのよ」
「ほう…そうだったのか。高須の家の隣というと…あの大きなマンションか?」
「それにしても今朝は驚いたよー。一体いつからそんなにラブラブになってたのさ?」
「それは…」
「なんだい大河ぁ、ここまできて私に隠し事は無しだぜー。さあさあ白状しちまいな」
「……えっと、その…竜児…」
「…あー、なんつーか…その……おう…」
「…ん?客?俺に?」
「北村先輩、櫛枝先輩」
「あれって、一年のマネージャーの子じゃない?」

「…大河、どうするよ?」
「どうもこうも、本当のこと言ったって信じてもらえるわけないでしょ。適当に言い訳を考えとくしかないわね。とりあえず今は大丈夫よ。この後みのりんたちは…」
「……悪い、ちょっと用ができてしまった」
「……ごめーん、これから緊急で部活のミーティングやるんだって!私立ち抜けるね〜、また誘って!」
「そうだったな。ひとまずは安心…」
「おい高須、櫛枝から聞いたぞ!」
「逢坂さん、高須君と結婚を前提としたお付き合いしてるって本当!?」
「……できねぇなこりゃ…やっぱり質問攻めがきやがった」
「え?え?ちょ、ちょっと!?…りゅ、竜児ぃ…」
「大河、逃げるぞ!」
「え…?きゃっ!竜児!?」

「あ、こら、待てー!」
「…でもなんだか逢坂さん、二年生になってから雰囲気変わったよね。丸くなったというか」
「あ、それは俺も思った。やっぱり愛のなせる業かねぇ」
「今だって、しっかり手ぇ握っちゃって、かわいいっ」
「でも、なんだか今の手乗りタイガーだったら普通に話せそうな気がするな」
「うん、なんだか仲良くなれそうよね♪」


【放課後】
「ああっもうこんな時間か…また会長に怒られてしまうな。それじゃ高須、逢坂、また明日!」
「おう、生徒会、頑張れよ」
「北村君、またねー」
「…さて、と。俺たちも帰るか?大河」
「うん…ねぇ竜児、ちょっとだけ寄り道していい?」
「…?」

「なあ大河、寄り道って言ったって、なんで階段なんか上ってくんだよ?昇降口は逆方向だぜ」
「いいからいいから…はい到着。竜児、ここ、覚えてる?」
「………おう…この踊り場は…」
「そう、ここは『一周目』のとき、クッキーを渡そうと北村君を追いかけて…私が階段から落ちて…竜児が助けてくれた場所」
「そうだな。…ははっ、やっぱり窓も開いてやがる」
「そうね…。ねぇ竜児、あのとき竜児は、自分のことより、クッキーと私のことを心配してくれたわよね」
「ん…まぁ、あのときはおまえと北村の仲を応援する目的で動いてたからな」
「竜児さ…あのとき、背中痛かったのに無理してたでしょ?」
「…うぐっ!?」
「やっぱりね…さすがに私でも分かったわよ。あんな勢いで飛び込んできた私を受け止めたんだもの。どれだけの衝撃だったかなんて容易に想像できたわ」
「まいったな…敵わねぇや」
「あのときね…自分のせいで竜児に怪我させちゃったって…とても悲しくなったの。まだ恋愛感情なんてなかったけど…それでも、協力してくれてた竜児を危険な目に遭わせたのに違いは無かったから」
「大河…」
「だからね、この『二周目』でやり直せて、よかったって思ってるのよ。今度は竜児にいらぬ怪我をさせなかったってね」
「おう…そうか、すまん。余計な心配させちまってたんだな」
「竜児、あのとき受け止めてくれて、本当にありがとう。だからこれは…そのお礼」
「おっ?これは…午後の調理実習で作ったクッキーか?」
「うん。今度は北村君に渡すためじゃない、竜児に…食べてもらいたくて焼いたのよ」
「そっか。ありがとな、大河」
「今度は全部きちんと焼けたし、ちゃーんと砂糖が入ってるわ。ありがたく食べなさい」
「おう、それじゃ………ああ、うまい!本当にうまいぜ、これ。ちゃんとできてるじゃねぇか」
「ふっふーん、『一周目』であんたと付き合ってから、どれだけ一緒に練習したと思ってるのよ?もうクッキーくらいなら一人で作れるんだからね」
「ははっ、そうだったな。それじゃ…こいつは俺からだ」
「ありがと!…んむっ…うわぁ…やっぱり竜児のクッキー好きだな。本当においしい!」
「おいおい、ここで全部食っちまうのか?家での楽しみが無くなるぞ。そろそろ帰ろうぜ。夕食の材料と…まだおまえん家のキッチン掃除終わってねぇんだから、キッチンハイターとカビキラーも買わねぇとな」
「ぶー、なによ、前は全部食っちゃえーって言ってたくせに…まぁいいわ。でも…さ、竜児、帰る前に一つだけお願い」
「あん?」
「キス…して」
「……………おう」
「んっ………ふふっ、竜児の唇、バターの味がする」
「………そういうおまえこそ、ザラメの味がするぜ」
「竜児…大好きよ…」
「おう…俺もだ…大河」

「…あ、ソフトボール部が練習してる。おーーーーい、みのりーーーーーん!北村くーーーーーん!」
「おーーーぅ、大河ーーー!高須くーーーーん!これから下校ですかーーーーーーー!?相変わらずお熱いねぇーーーーーーーーーっ!!」
「…ぶっ!櫛枝の奴、あんな大声でわざわざ言わなくても…あーあ見てみろ北村が苦笑いしながら手ぇ振ってるぞ」
「そーーーなのーーーー!あっつあつなのーーーーーーーっ!またねーーーーーーーーーーっ!」
「ちょっ!?おい、大河ぁ!櫛枝がずっこけてるぞ!あーあーあーあー他の部員たちがみんなリアクションに困ってるじゃねぇか。なに考えてんだよ馬鹿野郎」
「えへへ…いいじゃない、本当のことなんだし。ほら行くわよ竜児!スーパーまで競争!負けた方がアイスおごり!」
「おう…!?な、ちょっと待て大河!いきなりスタートなんてきたねぇぞ!!」
「あははははははっ♪」


【虎の寝床】
「あ…このふすま…」
「おう、今回はおまえに夜襲かけられなかったからな。破れちゃいねぇんだが」
「私のラブレターの封筒で作った桜の花びら…ね」
「どうも違和感があったと思ってたが、これだったんだよ。やっぱりこいつが貼ってないと、俺ん家のふすまって感じがしなくてな」
「…うん、『一周目』のとき、さんざん見慣れたものね」
「竜ちゃあん、大河ちゃあん、今日はこのお洋服着て行こうと思うんだけど〜、どうかな〜?」
「おうっ!?今日はまたすげぇな…」
「やっちゃん、それ、パンツ透けちゃってるよ」
「きゃー!ほんとだぁ!」
「だがそれがいい!」
「そっかー、じゃあ今日はこれでお仕事行こーっと!」
「よかねーよ!おい泰子!インコちゃんの言うこと真に受けんな!」
「ほえー。あ、大河ちゃん、いつもお家に帰ってるみたいだけど、あんまり遅くなるなら泊まってっていいからねぇ?…っていうか、いっそうちの子になってくれたら嬉しいのにな〜」
「ふぇ…?………えぇっ!?」
「それこそよかねーよ!」
「えー?なんでー?竜ちゃんと大河ちゃんは、お付き合いしてるでしょ〜。ラブラブでしょ〜。将来は結婚するでしょ〜。やっちゃん全然問題ないよ〜?ノープロブレムだよ〜」
「いやいやいやいや、世間的に見てプロブレムしかねぇだろうが!?付き合ってるっつっても、俺たちはまだ高校生だぞ?それに泰子は夜いねぇし…なにかの間違いでも起こったらどうすんだよ!?」
「あれあれ〜?竜ちゃんはぁ、やっちゃんがいない間に大河ちゃんになにか間違いでも起こしちゃうの〜?…いやーん、竜ちゃんのえっちー!だ・い・た・ん〜〜〜〜♪」
「ちっげーよ!」
「でもね〜、いつも一緒にご飯食べてるし、朝は竜ちゃんが起こしに行ってあげてるし、二人はお付き合いしてるんだし、大河ちゃんはもう家族も同然でしょ〜?」
「ま…まぁ…な」
「それにやっちゃんは、こないだ初めて大河ちゃんと会ったとき、竜ちゃんから『俺の恋人…いや、婚約者だ』って言われるより早く、びびっと感じたのですよ。『あ、この子は必ず、うちの家族になるなぁ』って」
「やっちゃん…」
「それに、もし他の人にばれそうになったり、なにかあってもだいじょーぶっ!二人にはちゃーんと避難経路があるじゃない」
「「避難経路…?」」
「竜ちゃんの部屋の窓から、大河ちゃんの部屋へエスケープ♪こう、ぽーんぽーんって…」
「やめろ!その格好でマリオジャンプはやめろ!パンツが丸見えだよ恥ずかしい!」
「えへへ〜、それじゃあ竜ちゃん、大河ちゃん、やっちゃん行ってくるからねぇ〜」
「聞いちゃいねぇ…。おう、気を付けろよ。変な奴がいたら携帯かけろよ」
「うん。やっちゃん、行ってらっしゃい」
「は〜い、行ってきま〜す」
「…………………はーあ、お茶飲も」
「あ、私の分もちょうだい。あと…」
「おう、茶菓子だろ?えーっと…なんかあったかな…」



「……はっ!………げっ!?もうこんな時間かよ!?…おい大河!起きろ!」
「………ん………?」
「起きろよ…起きろって………起きないなら…………お、襲うぞ?」
「……………………ばっちこーい……むにゃむにゃ…」
「おいこら、いい加減にしろ………つーかおまえ、起きてるだろ!?」
「…えへへ、ばれちゃった?」
「あたりめーだ。ったく…」
「ねぇ、竜児…」
「なんだよ?」
「私さ…、竜児の家で寝ちゃ…ううん、竜児の家で一緒に暮らしちゃ………だめ?」
「んな………っ!!」
「さっきやっちゃんに言われたこと、覚えてる?『初めて会ったとき、私はここの家族になるって感じた』って…」
「……おう…」
「あのマンションに帰っても、私の家族は、『この時点』ではまだいない…。それに、もう…夜にあの部屋で一人ぼっちで過ごすのはもう嫌なの!『一周目』でさんざん味わった苦しみを、今回もまた繰り返すなんてしたくないのよ!」
「たい…が…」
「…ぐすっ、だったら!せめて『二周目』は…、竜児の『家族』として暮らしたい!ずっと一緒にいたい!…ひぐっ…竜児と一緒にいたいのよぉ!!」
「おうっ!た、大河!?」
「竜児、お願い!ぎゅってして!私を抱いて!抱きしめて!もう離さないで!!……うぇぇーーーーん!!」
「大河………」
「ぐすっ……すんっ……うぇぇ…おね…がい…りゅうじ…お願い…」
「…………………やっぱり、駄目だ」
「……………っ!!…そ、そんな…」
「ちゃんと寝巻きに着替えて…せめて歯ブラシくらいは持ってこい。話はそれからだ」
「…え?」
「もう遅いから、とりあえず避難経路からおまえの部屋に行くぞ。あ、言っとくが間違ってもマリオジャンプで出るんじゃねぇぞ。危ねぇし、なにより恥ずかしいからな」
「……りゅう、じ…それじゃあ…」
「だいたい、冷蔵庫の中にあるものこっちに移動させなきゃ腐るだろもったいない。他にもおまえの着替えとか、学校の用意とか、私物もある程度こっちに持ってこなきゃ駄目だろうが」
「竜児の家で暮らして…いいの?」
「さーて、これで完っ璧に同棲決定だな。いいか大河、絶っっっ対にクラスの連中にばれないようにするんだぞ。下手したらマジで俺たちの首が危ねぇんだからな」
「うん…うんっ!ありがとう竜児……大好きっ!!」
「おう!さーて、とりあえず最低限必要なものだけ持って、今日はもう寝ようぜ。引越しはまた明日やりゃあいい」
「………うんっ♪」

「竜児…寝ちゃった?」
「…いいや、起きてる」
「私…今、本当に竜児と一緒のベッドで寝てるんだね。なんだか…夢みたい」
「なんだよ…おまえが一緒に暮らしたいって言ったんだろうが。今さらやめるなんて無しだぜ?おまえにあそこまで言わせちまった以上、俺も男だ。もう離すつもりはないからな」
「竜児…きゃっ!?……ぁ…えへへ…あったかいよ…竜児…もっと…ぎゅーって…」
「ああ…おまえも…あったかいぜ…大河…」
「うん…おやすみ竜児……だい…すきよ…」
「大河?…寝ちまったか………もうおまえを一人ぼっちになんかさせねぇからな…これからは…いつでも、ずっと一緒だ」
「……ん…りゅうじ…」
「…結局、泰子の言った通りになっちまったな…。明日、なんて説明すっかなぁ…でも、まぁ、せっかくの『二周目』だ……こんな展開も………悪くねぇや」


【実乃梨のジャンピング土下座・竜虎の誓い再び】
「高須、くーーーーーーーんっ!」
「おう!?」
「大河のことっ、よろしくっ、お願いしまぁぁぁぁすっ!高須くん、この子は……大河は私の大事な親友です!気難しいところもあるけど、心根は優しい女の子です!……幸せに、どうか幸せに、しやておくんなまし………!」
「…おう、任せとけ。これからなにがあろうと、俺は大河の傍にいる。大河を守ってやるって…もう決めたからな」
「竜児…」
「……うんっ!いい返事だぜ高須くん!言葉に一片の迷いも無いのがびしびし伝わってくるよ!」
「そ、そうか?ちょっと…クサいセリフだったかもしれねぇけど」
「そんなこと無いよ!なんて言うのかなぁ…こう、ゲームや漫画によくある、『続編に再登場した、数々の苦難を乗り越えて一回り成長した前作の主人公』的発言?」
「…みのりん、それって褒め言葉?」
「モチのロンだぜ大河ぁ!…でもなんか…二人を見てるとさ、ずーっと昔から恋人同士だったみたいに感じるんだよね。すでに数々の修羅場をくぐってきたって言うか、なにかを悟ってるって言うか…うまく言えないけど…」
「「…………っ!?」」
「あれ?二人ともどうしたの?」
「い、いや…」
「な、なんでもないよ、みのりん」
「?…まぁいいや、ともかく高須くん。もしも大河を泣かせたら……絶対に許さないからねっ!」
「……ああ、もちろんさ」

「…みのりん、やっぱり鋭いね。びっくりしちゃった」
「…ああ、俺たちが『一周目』を体験してることなんて知らないはずなんだけどな」
「でもさ…さっきの竜児、ちょっと…かっこよかった」
「おう…そうか?」
「うん。…ねぇ竜児…ずっと傍にいてね」
「安心しろ。『一周目』も言ったろ?おまえの傍にいる。飯も作ってやる。今までみたいにうちに来い…じゃなくて、これからはずっと、うちにいろ。弁当も作るし、朝も起こしてやる。それに…」
「…うん」
「俺は竜だ。おまえは虎だ。虎と並び立つものは、昔から竜だと決まってる。だから俺は竜になる。竜として、おまえの傍らに居続ける。今までもそうだったように…これからも、ずっと、ずっとだ」
「…………うん…うんっ…ありがとう…」
「大河…」
「竜児…」
「お二人さーーーん!そう言えば次は移動教室だよーーーーっ!早く戻っておいで…………って、うぉぉっ!?」
「おうっ!く、櫛枝っ!?」
「ひゃうっ!み、みのりんっ!?」
「……ほうほうほうほうほうほうほうほう〜〜〜、さっすが将来を誓い合った仲。いいもん見させてもらったじぇ〜♪……おぉーーい北村くーーーん、みんなーーーーーっ!」
「やばい!大河、櫛枝を止めろっ!!」
「あぁもう!なんでこうなるのよーーーっ!もー!みのりん、待ってーーーーーっ!!」



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