竜児キラー
http://www.amazon.co.jp/dp/B004S98P24




「竜児ーぃ。晩ごはん何ー?お腹ぺっこぺこ!……あらなにやってんの?」
お針子仕事じゃない。なんかバイト始めたとか?
「おう大河。ちょうどいい、寸法測らしてくれ」
「なに?私のなんか作ってくれてんの?……ってあんた、これ……」
フェルト生地にビキニ水着、しかも虎縞。どう見てもコス衣装の製作中。
大河は竜児が開いていたノーパソを覗きこむ。
「ばっ!?」
ばっっっっかじゃないのっ!
なによなんなのよこれ?私にこんな格好させようっての?!気は確かっ?!
「そ、そんなに怒るとは思わなかったな……似合うと思ってよ」
「こっ、こんなのラじゃないの裸!」
全裸じゃないし。半裸でもラはラよ。だいたいどこで着んのっ!はっ?まさか……
「ミスコン衣装じゃないでしょうね……?」
竜児がぴっと親指を立て、ミヨシ正解ぬーどー!とインコちゃんが突っ込んだ。

「だってよく見ろよこれ。すっげー脚長い。負けてらんねーだろ?大河」
「そ、そんなに変わんない……と思う。けど……」
じゃ、じゃあ比べて見てよ、と大河はワンピースの裾をたくしあげる。
「ぱ、ぱんつ見えないギリギリがこの辺?」
「そ、その辺かな」
「どうよ?」
「やっぱフィギュアの方が長いような」「なにっ!?」
ほ、ほんとはもうちょっと隠れてるのよ。絶対そうよ。またちょっとたくし上げ。
やばいやばい、もうやめろ。ちょっと見えてる。
「ムキになるな。さすがに人間でこの長さはねえ。煽って悪かったな」
……どうせ私はちんちくりんよ。

「そんな事もねえ。大河……お前の脚、すらっとして綺麗だ」
「ほ、ほんと?」
「ああ本当だ。どぎまぎしちまった……」
「りゅ、りゅ」
「というわけでその魅力を余すところなく表現しないか?これで」
「す、すすすする」

というわけで完成したのだった。
「どう……?」
「おう……予想以上……に……」
「で、でも……」
「だめか?」
「悪くは……ないんだけど……その……みんなの前で……これは」
「やっぱ恥ずかしいか。ほとんどラだもんな」
「違うっ!ばかっ」
いきなり眉を逆立てて怒る。そのコスで怒り顔。可愛いすぎだろ。
「あんた以外には見せたくないっ……のっ!!」
「え……。おう……そうなのか」
「あんたが似合うって言ったんだろっ!あんたが見て楽しんだらこれは終わりっ」
「あ、ああ理屈は合ってる。ももも問題ねえ」
「だったら、とっととポーズをリクエストしろっ!グズエロ犬!!」

結局、ミスコン衣装がどうなったかは文化祭当日までのお楽しみであった。

――おわり





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