「ねぇ竜児」
「おう、なんだ」
「私さ、あんたのこと「好き」って言ったでしょう」
「お、おう。なんだよ藪から棒に」
「あれ、全部嘘」
「…………………………………………え?」
「私、あんたのこと、好きじゃない。好きじゃなくて」

そう言葉を切ると、逢坂大河はミルク色の頬を薄く桜色に染め、星を散らしたような瞳を長いまつげで
覆いながらわずかに目を伏せる。そうしてバラのつぼみのような唇に見ている者をとろかすような微笑みを浮かべて

「あんたのこと、大大大大大大大大だーい好き。あんたの横にいると融けちゃいそう」

もじっ、とひねった体を竜児に預けた。

(お・し・ま・い)


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