「っと、あーみん、そろそろ時間じゃないかね?」
「え? あらやだ、ホント。それじゃみのりちゃん、タイガー、またね」
「おーう、よいお年をー」
「ばかちー、お土産よろしくねー」
 颯爽と立ち去る亜美を見送りながら、大河は小さく溜息を。
「毎年毎年海外なんて、うらやましいわよねー」
「まあ普段忙しいからね。年末年始ぐらいはゆっくりしないとやってられないんじゃない?」
「そんなもんかしら」
「そういや今更だけどさ、大河はこんなにのんびりしてていいわけ?」
「んー? なんで?」
「ほら、大掃除とかあるんじゃないの?」
「あ、それなら竜児に任せてるから大丈夫」
「いや、主婦としてその発言はどうなのさ」
「何言ってるのよみのりん。竜児が自分からやらせてくれって言ってきたに決まってるじゃない」
「あ、そうなんだ」
「普段の掃除は私がやってるから、余計にね。もうやってる最中は目をギラギラさせて楽しそうなこと」
「そ、そうなんだ……」
「あれだけ喜ばれると、ここしばらくわざわざ少し手を抜いて掃除してた甲斐もあるってものよね」
「……なんつーか、相変らずいい夫婦だねえ、キミ達は」
「ありがと。でもまあ、そろそろ帰らないとね。一応私の分担もあることだし」
「あー、自分の部屋とか?」
「それもあるけど、竜児の大掃除をね」
「高須くん……『の』?」



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