「ねえ竜児、卒業旅行いかない?」
「おう、また藪から棒に……でもまあ、悪くねえアイデアだな」
「でしょでしょ」
「大河は何処に行きたい?」
「温泉!」
「おう、いいないいな。となると、熱海とか……」
「ちっちゃいこと言ってるんじゃないわよ。ここはどーんと、由布院!」
「ゆふ……って、九州じゃねえか!」
「そうよ。何か問題でも?」
「大ありだ。旅費とか、さすがにそこまで出す余裕はねえぞ」
「だ〜いじょうぶ! そのへんは私にまっかせなさ〜い!」
「まかせられるか! 大河だってそこまで小遣いもらってるわけじゃねえだろ」
「タネを明かしちゃうとね、合格祝いってことでうちの親がスポンサーなのよ。交通費はパパが出してくれて、泊まるのはママの親戚の所に格安でってね」
「おう、それはそれで申し訳無い気が……」
「厚意なんだから素直に受け取っとけばいいのよ。どうしても気になるっていうなら、自分で稼げるようになってから返せばいいじゃない」
「おう、そうだな」
「ってママが」
「……おう」
「じゃ、行き先まで決定でいいわね? 後は日程よね」
「おう。と言っても今の所大した予定はねえし、別にいつでも……」
「早目に予定確認しとかないとね。みのりんでしょー、北村君でしょー、ばかちーでしょー、麻耶に奈々子に、ついでだ、アホロン毛とバカ眼鏡も連れていってやろう!」
「おう? ……おう、そうか、皆で行くのか。それはそうだよな、うん」
「……竜児」
「お、おう?」
「あんた……どうやら私が考えてた以上にエロ犬だったみたいねえ」
「なな、何がだ?」
「旅行、二人で行くもんだと思い込んでたでしょ」
「……う」
「あわよくば湯上りしっとりつやつやボディの私と朝までしっぽりと……とか考えてたでしょこのエロエロ魔人」
「いや、そこまでは……」
「そ、そういうのは、いずれまた、ね」



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