おやつの時間。

「なあなあ大河ー?あの侮蔑……ってのかな?汚いものを見るような目で見てくんねえ?」
「な?なんでよ?」
「落差っていうのか、今そう見られたらどんな思いがするのか知りてえ」
「……こうかな?ふんっ!」
「あんまり変わんないな?なんか可愛いばっかりで」
「そ、そう?ふ、へへへ」
「こう、見透かされてぐさーーっとくる感じが全然ねえな」
「もうどんな顔して睨んだのか思い出せないよ」
「そうか。無理か」
「そんなに見たければ、そうね?あんたどっかで浮気してみれば?」
「何でだ?なんでそうなる?ん……そうするとどんな顔するんだ?」
「ちょっとイメトレしてみるね……うー……え?」
「お、なんかそんなふうな感じになってきた」
「あんたって……最っ低!」
「来たーっ!ぞくぞく来たっ!なんかお前に何されても悔いはねえ感じ!」
「なに言ってんだか……まあこんなもんよ」
「ちなみに俺が誰と浮気すると思うとそんな顔すんだ?」
「そんなの内緒に決まってるじゃん。バカ?」
「おう……まあ。そうだよな」
「ふう……やきもちは簡単に妬けるけど。あんたを侮蔑するのはもう無理だわ」
「そうだな。俺たち完っ璧に愛しあってるもんな!」
「そうそう。はぁ〜エネルギー使ったら甘いものが欲しくなるわ。冷蔵庫のプリン食べよーっと」
「……」
「ないんだけど。あんたしらない?」
「お、おう。けさ食べちゃった」
「あんたって……最っ低ね!」
「うわ!また来たよ!ぞくぞく来たっ!」
「あれ?なんだろ。プリンと浮気が等価ってこと?」
「それはちょっと女としてどうなんだろうな……お、どうでもいいけど最中ならあるぜ?」
「お茶いれて。くち乾くから」
「おう」

「今日は暇ねー」
「そうだな……ほんとにくち乾くもんだな。あっまい」
「……う、うん。甘いね」
「……甘いよな」
「お茶も……欲しいな」
「おう……」
「もう一回……甘くてもいいかも」
「きりがねえな」
「最中なくなったら買いに行こうか?」
「何を?」
「ぽ、ポッキー」

人間、時には初心に帰ってみるのもいい。



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