「…………ねえ、竜児。」
「ん? どうした大河?」
「あのね。……正直ずっと気になってたから言うけどさ。
 さんざんいちゃいちゃして、いざ合体、って時に脱いだ服畳むのやめてくれる……?」
 ぶふぁ!
 盛大に噴いて、竜児は手にしていた大河のブラウスを取り落とした。
「が、合体ってお前っ」
「ぶっちゃけ萎える」
「なえ……っ! 女の子がそういうこと言わない!」
「だって萎えるんだもの! 可愛い彼女がマッパでうふんあはん言ってんのよ!
 もっとこう、余裕ない感じで肉食っぽく来てよお!」
 んばっ、と肌も露わに両手を広げる大河。控えめだが形の良い乳房から視線を逸らし、竜児はもごもごと言い募った。
「よ、余裕がねえからこうやって気持ちを落ち着かせてんじゃねえか!
 がっつくなんてみっともねえ! ……あと、シワになるし。」
「はっ。
 そんなチンケなプライドなんざ洟かんでゴミ箱にポイよ。」
「ポイ……」
 あっさり鼻で笑われて、哀れ、男の矜持はゴミ箱の中。
「あんたはルパンダイブを習得すべきね。」
「るぱ……ええ?」
「いいから早く! へいへいカマンッ!」
「お前最近、櫛枝にヘンなこと教わりすぎじゃねえ……?」
「とか言いながらキャミ畳まない!
 あんた本当にどこまで片付け魔なの?この妖怪几帳面!」
「その妖怪几帳面に、今からどこもかしこも弄られるんだぞお前はよう。」
「…………。」
「なんで俺がシモネタ言ったら引くんだよ!?」
「いや……なんか……。
 やっぱいいわ。そのままの竜児でいて。」
「……似合わないか?」
「……うん。」
「じゃあ、その……。好きだ、大河。」
 せめてもの妥協に自分のパンツを放り投げると、竜児は待ちわびる恋人の側へいそいそと潜り込んだ。



   おわれ!



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