「野生のトラはどれも絶滅危惧種なんだってな。そんなイメージなかったっていうか、ちょっと意外な感じだ」
「……あんた、それ遠回しに私のこと言ってる?」
「え? いや、俺は単純にテレビで見てそう思っただけなんだが……おまえのことって?」
「最近『野生の手乗りタイガーが高須の家ネコになった』とか面白がって噂してる奴がいるらしいのよ」
「それは……」
「ふざけた話よね。人のこと野生だのネコだの……まあ、私が竜児の家に入り浸ってるのは本当だけど」
「すまん、大河。少しだけ言い得て妙だな、と思っちまった」
「はあ? 何がよ」
「確かに俺の腕の中に居るときの大河は可愛らしい飼いネコになったみたいだな、なんて」
「…………」
「わ、悪い。アホなこと思ったりして。……怒ったか?」
「べ、別に。……ただ、ちょっと納得した自分が悔しいだけ」



「じゃれついてくるおまえは本当に可愛いからな」
「ば、ばか竜児……」
「ほら、そう言いつつ擦り寄ってくるあたり……ネコ科っつうか」
「うるさいわね、引っ掻くわよ?」
「……大河が引っ掻くのは俺の背中だろ?」
「はっ!恥ずかしいじゃないの……」
「今日はお手柔らかに頼むぜ?」
「そんなの……竜児次第じゃない」

ギシギシアンアン




作品一覧ページに戻る   TOPにもどる

inserted by FC2 system