「そういえば初ギシアンまだだったよな」
「なにその義務感くささ。なんか台無しじゃない?」
「いちおうちょっと言い争いの種をまいてからと思ってさ」
「ふぅん。でも新年だし、かるーくケンカしてから竜児のうまい一言でモジモジ、あん、ていうのもやめない?」
「おうそうか。どんなのがいいんだろ?」
「あんたが洗濯槽の中に白菜を入れておく」
「は?洗濯機?」
「『やろうぜ』っていう打診のサインね。私はそれを見て承諾ならヤカンを入れておくの」
「な、ん、だ、そりゃ?」
「『1、2の三四郎2』って漫画で読んだ」
「あれか。プロレス漫画。しかも続編の方か?・・・それでも古いな」
「面白いんだもの。プレンバスターの絵、ちょうカッコイイ」
「決め技がブレンバスターっての当時でも古臭いよな〜」
「何言ってんの?鍛え抜かれたレスラーだからこそプロレス技は光るのよ。ウィーッ!」
「お、テキサスロングホーン。お前がやると得意げな猫みたいだけど」
「なにぃ!まあとにかくこの私をブレンバスターで落とすのだ。そうそう……首ロックして股間に腕挿しこんで逆さ倒立に持ち上げて……」
「天井蹴るなよ、埃落ちるからな」
「ん。ちゃんと脚縮めておくから。で、そのまんま一気に肘から垂直に落とぉすっ!」
「アホか。頸椎詰まって死んじゃうだろって、お前なあ」
「さ、逆さ茶巾だよこれじゃ。ぱんつみえまる。はっ?これが狙いかエロ犬ぅ!」
「お前がやれって言ったんだろ」
「だ、だ、だんだん頭に血が上って来た。あれ?上るじゃなくて降りるかな?」
「じゃあゆっくり降ろすからな、暴れんなよ。ぐぇぇっ」
「三角締め(はぁと)。あれタップ?早くない?ていうかお尻叩かないでよ」
「ぐはぁはぁはぁはぁはぁはぁ……」
「そんなに苦しかった?ご、ごめんね」
「はぁはぁはぁ……目の前がくらっと。決まると締まるもんだな」
「ああ、あ〜あああ、ほら横になって!お水のむ?うあっ!?」
「つーかまえた。しばらく離してやんね」

「あー。まあいいや。へへっ。ふふふ」

ギシギシアンアン ギシギシアンアン

「なんだか手が込んできた気がするのは俺だけか?」
「い、いいじゃないのよ。終わってから言うんじゃないわよ」



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