目を開けたら、間近に竜児がいた。
 思わずぶん殴っていた。
「あ、あんた、一体ナニをしようとしてんのよっ!?」
「お……おう……」
 よろよろと立ち上がった竜児はそのままたたらを踏むこと二度三度。
「なによその不思議な踊り。舞い狂うなら自分ちでやんなさいよね」
「ふらついてんだよ! くそ、的確に脳味噌揺らすようなパンチ打ちやがって……」
「で、どうやってご主人様の寝室に忍び込んだわけ?」
「お前が! 今朝! 合鍵渡したんじゃねえか! インターホン何回も鳴らされるのがうっとおしいからって!」
「……ああ、そーいえばそうだったわね。それで、何の用?」
「晩飯だ。大河お前、ひょっとして帰ってきてからずっと寝てたんじゃねえだろうな?」
「うるさいわね、昨日ちょっと遅くまで起きてたのよ。大体、起こすならもっと普通に起こしなさいよね」
「起こそうとした瞬間にお前が殴ってきたんだ」
「あらやだ、遺憾だわー」
「どうしてそう乱暴なんだ、まったく……」
 寝顔に見蕩れてたなんてことがばれたら、一体どんな仕打ちが待っていることか。



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