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「ただいまー、ていうかこんばんわー。・・・あれ?温めたミルクの匂い」
「おうお帰り。そろそろ『鏡開き』だからな、ちょっと汁粉をな」
「おしるこ?って何でミルクの・・・ほぁー」
「ふつーの汁粉じゃつまんないかと思ってよ。ミルクぜんざいにしてみた」
「うう・・・いい匂いぃ」
「小豆あんとミルクはすっごく相性いいんだぜ?あとは正月の残りの餅を焼いて、千切って入れるだけ」
「か、かけつけ三杯!早く!」
「それはこういうときの催促と違う」
「分かったから・・・早くっ!」
「おう、じゃ焼き立て餅をば千切って、あちっ!・・・ほんとは白玉の方が合うんだろうけどな」

 ほれ、と箸を添えた一椀を押し戴くように受け取った大河は、その場でふーふー冷まして啜りこむ。

「う・・・っまーぁっ!」
「待てっ、行儀悪りぃな!座って食えよ・・・ったく」
「うん。甘さすっきりでおいしいわこれ」
「いま箸休めに漬物刻んでやるから」

 乳製品系スイーツなら大河に外れなく、持ち余したる真空パックの消費も順調なりと竜児のニヤリ。

「餅と甘しにひっかけてるってわけね。落語みたいだわ」
「・・・オチの解説は恥ずかしいからやめてくんねえか?」
「わかった。おかわり」
「おう、待ってろ」




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