並んで小さな包みを開き、中の紙片を広げる二人。
 途端にぱぁっと笑顔になる大河。
「やった大吉! ねえ竜児、そっちは?」
「お、おう……」
 だが竜児はといえば、なにやら引きつった表情で。
「?」
 手元を覗き込めば、そこにはしばしば彼の目つきを表わすのに使われる文字が。
 ――すなわち『凶』と。


「……竜児」
「……おう」
「あんた、いつまで落ち込んでるのよ。あのおみくじは神社で結んできたんだからノーカンでしょうが」
「いや、でもさ……やっぱり気になるじゃねえか」
「まったく、そうやっていつまでもウジウジしてるからあんたはグズ犬だってのよ」
「おう……」
「あー、もう! しかたないわね、こうなったら大吉の私が運気を分けてあげるわよ! そうね……中吉ぐらいまで」
「……いや、そこは普通一緒に大吉に……とかじゃねえのか?」
「はぁ? 贅沢言ってるんじゃないわよこの駄犬。あんたには中吉程度で十分だっつってんの。
 ほら、さっさとそこに正座! 目をつぶる!」
「お、おう」
 言われるままに目を閉じて数秒後、竜児の唇に触れたのは柔らかな感触。
 目を開ければ間近に頬を染めた大河の顔。
「っ! た、大河、お前……」
「はい、これでちゅー吉」



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