ぶっひょんっ!!

「あー・・・」
「おおおお、ほらティッシュ。かめ」
「ずびぃ〜っ。ああ、目もかゆいぃ〜かゆいよう竜児ぃ〜」
「これは、アレだな。早春の風物詩たる」
「その単語言わない。聞いただけでむずむずしちゃうわ」
「おう」

「それにしてもあれねー、花粉て」
「自分で言うのかよ。あ、いや別に文句ねえよ。続けて続けて」
「・・・素直でよろしい。ね、花粉ていうのはさ、杉のせい・・・モガァ」
「なんて単語を!おまえちょっとは自嘲じゃねえ自重しろよ?」
「いいじゃない、誰に聞かれるわけでもないし」
「俺とお前の会話はカプスレで紳士どもに聞かれてるんだからそれなりになあ・・・ま、いいか」
「話戻すわよ。つまり杉の精さんなわけだから、花粉症ってつまり杉にレイ・・・プッ!苦しいってのこの顔面表層雪崩!」
「・・・表層雪崩は新しいな。じゃなくて言いたい事は分かった。わかったからもっと表現をボヤっとさせてくれ」
「つまり杉さんの子作りに私が蹂躙されてるわけよ。目一杯空に向かって放出した子種に目とか鼻の粘膜が陵辱されてるってことにならない?」
「ボヤっとさせなくていいです、もう」
「あんたとしては平気なわけ?つまりそのか、か、かかかかの・・・ょがネトラレてるに等しいわけでしょ?」
「おまえが言い淀む単語のチョイスが分からねえ・・・ネトラレ良くて彼女が恥ずかしいのか?」
「ひ、ひゃぁぁぁ〜っ・・・っっっ(///)」
「お、おい?」
「あんたねえ!そ、そんなエロい言葉を面と向かってわわ私に投げつけるなんてっ」
「・・・ほんとに分からねえな」
「分かんないの?」
「説明してくれるか?」
「しない」
「は?」
「しないったらしない!自分で読み取れ鈍感犬!は?うぁ?」

 ぶひょっ!!!!

「ほらティッシュ」
「ありがと・・・ハナ垂らしてるカノジョってどうなのかな?」
「どうって、仕方ないだろう?」
「もーっ、そうじゃなくってぇーっ!ふえ?ええええ〜」

 ぶっっひょっっ!!!!

「よし♪」
「おまえ・・・俺の胸元にハナミズ付けたかっただけなのか?・・・じゃないか」
「もっとギュってするのよ。でないとこのままもう一発水っぽいのをあんたの黒レーズンに向かってー」
「回りくどいんだよ、すぐ分かるように言えよ」
「言えるわけないじゃない。そ・・・そんな甘ったれたかんじな」
「甘ったれていいんだよ。二人きりのときは別に恥ずかしいことなんかねえ」
「オチもなんにもないわね」
「オチ?なに言ってんだ?」

 ぶ・・・ぶわっしゃっ!!!!

 寝てるとばかり思われたふすまの向こうで、泰子の盛大なクシャミの音がした。



〜おしまい〜



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