(どうも神々からギシアンを要求されているような気配がする)

 高須竜児は家路を急ぎながら身震いした。
昨年末、ついにねんがんのあいさかたいがをてにいれたぞな身分であったからさほどの困難ではないのだが、
何と言ってもギシアンは相手の考えもある事だ。宮仕えとなり連日天辺過ぎ帰宅の身としては、一存でよっしゃ今夜はギシアンだ!やったねパパ!
と言う具合にはいかない。パパと言ってくれる幼子の顔も未だ見てないのではなおさらだ。
 それ以前の問題というか引け目として、先にご飯済まして寝てろと言ってあるのはガン無視で起きて待ってる妻の大河に対しても
そんな軽々な言い方はなかなかしにくいものだ。

「ただいま〜」
「おかえりっ」

 鍵を回して玄関開けたら0.5秒でこの返しだった。ああ玄関前に座り込んで待ってたのか。スイートホームと言ったって独りきりだもんなあと、
居間へと通じる短い廊下で二度も足払いをかけられそれをすかしながら竜児は思う。寂しいよなそりゃ。一日は長い。

「ねえ竜児。ご飯にする?私にする?それともワ・タ・シ?」

 うおォんなんてベタギャグだ。くそ可愛いじゃねえか!

「もちろんお前が先でメシは後だ!覚悟しろ!」
「きゃー(棒」

 ギシギシアンアン ギシアンアン ギシ…ぐぅ……

 今夜も飯抜きなのであった。



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