「ということで引っ越したわけよ、竜児」
「おう」
「ついに“×”の前にあんたの名が刻まれた記念すべきスレッドよね」
「おう……何を記念すべきなのか知んねえが」
「鈍いわねえ、さすが犬!……じゃなかった、今の無し……つまりあんたが『攻め』なわけよ」
「前にそんなような話題もあったな」
「何をまったりしてるんだかもー」

「……」
「……早くしなさいよ」
「何を」
「攻めなんだからいつも私があんたにしてるように理不尽な言い付けや無体な罵倒をするの」
「おう。じゃお茶入れてくれよ」
「ああ、まずアゴで使うところからね?……はい」
「サンキュー」
「違うでしょっ!『渋い!』とか『熱い!』とか『茶柱が立ってねえ!』とか畳みかけないとっ」
「だって丁度いいぞ?茶入れるのは巧くなったよな」
「え、そ、そう?ふへへへへ……調子狂うわね」
「じゃあ、テレビ点けろ」
「そこにリモコンあるでしょっ!そういうどーでもいい小間使いじゃなくてさっ!!」
「お前が切れてるとなんか平和な一日だったなあという気がするな」
「なんだかなあ」


「じゃ無体な罵倒してみなさいよ?こう……胸が抉られるような」
「お前の戦術は読めている」
「な、なに?」
「俺がうっかりそんな誘いに乗って胸がどうとか言うと思うか?」
「ノリツッコミってやつじゃないの」
「いくらなんでもそれはねえ。第一えぐれてなんかいねえだろ」
「む。みみみみ見たわね!」
「見てねえけど、お前の申告受けて水着のパッド縫ったんだからそりゃどのくらいか知ってるさ」
「くっ、屈……辱……。あ!これよ!これこれっ」
「どれ?」
「違う!これが『攻め』なのよ!やればできるじゃん」
「そ、そうか!なんだか分からねえがこれでいいのか!?」
「そうなのよそうなのよ!なんかやっと言葉が通じた感じがするぅっ」
「おう、良かったな!」


「で、次はどこに触ればいいんだ?」
「あれ?こ…れ…で……良かったの……かな?」



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