「大河の回りくどい『可愛がって』催促」の例:初級編(頻度-高)

1.
竜児が座っていると無言で後ろに回り背もたれにする
もしくは肩に腰かける(「あら間違えちゃった」ボケや「座り心地良くない!」のキレ芸と併用)
2.
竜児が読んでいる本を取り上げて「ふん…ふん…」とコ難しい顔で読み始める
3.
向き合って食事中に「竜児あんた行儀悪い」と言い出しぐるっと回りこんで隣に座る
(竜児のおかずを食べはじめる、頭突きなどのツッコミ待ち行動と併用)
4.
くしゃみを発した場合には「あー」と洟を垂らしながら竜児の顔を見る


たかすくん、この他にも発見したら即時通報してください。
中級編・上級編・超弩級編の報告も待つ。

 櫛枝行動心理研究所


5.
黙々と本を読む竜児の手のうえに、無理矢理あごを「ドンッ」とのっける。
竜児があご下のくすぐりの攻勢に出ると、目を線のように細めて、「ゴロゴロゴロ…」


6.
掃除など竜児が家事を始めると動線の邪魔になる場所から頑として動こうとしない

「よし登録、と。あるある、抱え上げて掃除が済んだとこに運ぶとおとなしくなるよね」
「おまえが家事やってた頃からあいつそうなのか・・・」
「相方が腰をあげたらまず自分を構うもんだってスイッチが入るらしいよ」
「でもな、じゃぁと構うと『なに、浮かれポンチ?』とか意外に冷淡なんだよ」
「あ〜。そこはやっぱ女友達と恋人で態度違うね」
「ふーん、そういうもんなんだ?」
「そこで引かずに君のほうがエロポンスケになって音を上げるまでやってみ?・・・ふっふぉぅ」
「おおおぅほれティッシュティッシュ。・・・それはなぁ、ちょっとなー」
「ありがと。・・・ほう、やはり『静かなる助平』としてはダメかね?」
「流れの中でちょっとオヤツ的に構われたい感がするんだよな」
「・・・板についてきたね」
「それにさ、そういうちょっとした食い足りなさを重ねていった方が・・・へっへっへ」
「・・・・・・」
「どうした?」
「・・・やらしい」
「えっ」
「たかすくん。君は予想外に助平だ」
「ええっ?そ、そうなのか」
「えっちーーっ!」
「お、おい待てよ櫛枝ぁーっ」
「また聞きに来るからネタ貯めとけよオラーーーっ!」

廊下を走り去る実乃梨を見送って茫然と立ちすくむ竜児の背に、ごつんと頭突きの感触がした。

「りゅーうじっ♪」


〜おしまい〜





「大河の回りくどい『可愛がって』催促」の具体例


「……小さい」
 聞こえた呟きに顔を上げれば、大河が食べかけの皿を前に頬を膨らませていて。
「おう、何がだ?」
「ウインナーよ。あんた、私の分小さいのばっかり選んだでしょ」
「するわけねえだろ、そんなこと」
 そもそも大袋の徳用ウインナーである。本数までは数えても、一つ一つのサイズまで気にしているはずもない。
「だって、見てみなさいよこれ」
 だが大河はわざわざ隣に来て皿を並べ、残っているウインナーを交互に指差してみせる。
「ほら、明かに竜児のやつの方が私のより大きいじゃないの」
「偶然だろ。それに大きいったってほんのちょっとじゃねえか」
「チビも積もれば山になるって言うじゃないの。トータルすれば一本分ぐらいの違いにはなるはずだわ。
 だから竜児、あんたの分を一本よこしなさい」
「……わかったわかった」
 まあ、経験上こんな時の大河に逆らっても無駄なのはわかっている。むしろ強奪されないだけマシというものだろう。
 小さく溜息をついてウインナーをつまむ竜児。
 と、大河は体ごと竜児の方に向き直り、大きく口をあけて。
「あーん」



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