怪我人はどこだーっ!?

***

 ガチャ、バターン!!
「竜児っ!!」
「おうわあ!? た、大河!? なんだ、どうしたおまえ、こんな遅くに!?」
「親捨ててきた! しばらくよろしくね!」
 ドサッ!
「おう、その荷物……てことは、なんだって? 親、捨ててきたって、えぇ!?
 おまえほんとか!?……ほ、ほんと、なんだな……よし。来い、大河!」
「っ! 竜児……っ!」
 だだだっ!ぎゅう……っ!
「竜児っ、竜児……っ!」
「大丈夫だ、大丈夫だ、大丈夫だ……な、大河……な?」
「ひっく……う、うん、竜児……っ」
「さ……言えるか? 大河……ゆっくりでいいぞ。うん……何が、あった?」
「ふぐっ、あ、あのね、母さん、トチ狂った、の」
「おう、お義母さんが? トチ狂ったって、そりゃまた……どういうことだ?」
「あ、あのね、私を、竜児と、別れさせるって……別な婚約者に、あてがうって……
 大企業だかの、馬鹿息子……政略結婚、なんだって……」
「……」
「ど、どうしたの? 竜児、そんな、逆らう奴は皆殺しだーっ、みたいな目して。
 不審火が相次ぐよ?」
「おう、そうだよ。皆殺しにしてやるよ。おまえを俺から奪う奴は皆殺しだ、大河。
 ちくしょう、ふざけんなよ、ちくしょう。なめやがって……許さねえ、誰も許さねえ……」
「わわっ、竜児、その目で言ったら冗談になってないよ……じょ、冗談じゃ、ないんだね……
 う、嬉しいよ、竜児……っ。でも、皆殺しは、だめ」
「大河……」
「ん……だって、そんなことしたら、竜児も私と一緒にいられなくなるもの……ね?
 私、そんなの許さない……たとえあんたでも、あんたを私から奪うのは許さないの」
 ちゅ。
「っ! た、大河……」
「……ね、竜児。大丈夫だよ、ほら。私、ここにいるし……」
「お、おう、そうだな、大河。すまねえ、俺がとりみだしてどうするんだ……もう、大丈夫だ。
 考える。そして行動する。俺はおまえを守る。必ず、おまえを守ってみせる、大河」
「うん、うん。う、嬉しい……でも、ごめんね、竜児……」
「は? なにがだ?」
「あんたの夢、駄目にしちゃって……みんな幸せになるっていう、夢」
「おう……なに言ってんだ、馬鹿たれ。俺の夢は、おまえがいて、そしてみんなで幸せだ。
 逆じゃねえ。逆はねえ。逆なんか知るか。おまえがいないみんなの幸せなんか、
 くそくらえだ……おう、どうしたおまえ……いい笑顔だけどよ」
「えへ。竜児、大好きだあ、って。あんたで、よかったあって」
「おう、なんだそりゃ……俺も、大好きだよ、大河。おまえじゃなきゃ、駄目なんだよ俺は」
「わ、わ、わぁい。やったあ……でね、竜児。私、考えたの」
「お、おう、なんだ……ひょっとして、対抗策か? なんだおまえ、すげえな……いいよ、
 聞かせてくれ、早く」
「うん、ちょっと待って……うしっ! いいこと竜児っ! 心して聞くのよ、そして従うがいい!」
「おう!」
「あんた私に中出ししなさい!」
「おうっ!……おうっ!? なかだし!? なかだし、って、アレか!? あのアレか!?」
「そーよアレよ! さあ、一刻を争うわ! うりゃ脱げいっ!」
 すぽーん!
「うおうっ!? いや、ちょ、ちょっと待て大河! それほんとに今すべきことか!?」
「問答無用っ! あんたは射精! 私は受精! そして記念写真をネットに流出!
 縁談なんか即破談! どうよこれ見事でしょうが!」
「おう!? ちょっとマジ対抗感が……って、いやいや! なんかもっといい手あるだろ!?」
「黙らっしゃいっ! さあ竜児、喜びの時よ! 私のものになるがいい!」
「おううううううぅぅぅぅ……っっっ!」

ギシギシアンアンドビュパシャポチポチピーガガガッピーイーイーイー……




***
「よくわからないけど、もし政略結婚の相手側の旨味が大きければ、
 相手に送っただけじゃ揉み消されるだけよ!」
「おう……そうか。なるほど、そういうものか……?」
「それにね、竜児……ネットに流せば、全世界に私が竜児のものになったって、
 アピールできるもの……」
「お、おう……え? ちょっと待て大河。お、俺の顔も写ってんのかそれ!?」
「トーゼンよ! もはや私たちは一心同体! 一蓮托生!」
「むしろそれ俺たち一緒に終了のお知らせじゃねえ!?」
「なんかこれ、写りがイマイチよね……撮りなおさないと! ね、竜児! うりゃ!」
「ひとの話聞けよ!? おう、まだだめへぇ……っ!」

ギシギシアンアンドピュパシャ(ry
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